7月24日(月)第525回例会のご案内(3)
例会にご出演下さいます久元祐子さんからメッセージを頂きましたので下記ご紹介致します。
「このたびの例会では、2台のフォルテピアノ―シュタインとヴァルターでモーツァルトの作品を演奏させていただきます。天才作曲家、そして人気ピアニストとしてウィーンで活躍したモーツァルトの生涯は、鍵盤楽器の大きな変遷の時期に重なっていました。幼い頃、クラヴィコードに親しみ、神童として見事なチェンバロ演奏を披露し、様々な音楽都市に旅をする中で最先端のフォルテピアノに触れ、楽器に熟達していったモーツァルト。チェンバロからフォルテピアノへという楽器の変遷は、『きらきら星変奏曲』の表紙に「チェンバロ又はフォルテピアノのための変奏曲」と書かれていることからも窺えます。「皆様お持ちの楽器、チェンバロでもフォルテピアノでもどちらで弾いていただいても結構です。」というメッセージが読み取れます。
モーツァルトの鍵盤楽器作品の作風と愛用した楽器には、密接な関係があります。チェンバロのみを想定した曲には強弱記号が書かれておらず、フォルテピアノを想定した曲には、漸次的な強弱記号も記されています。
モーツァルトはウィーンに移り住んで間もないとき、皇帝ヨーゼフ2世の御前でクレメンティと演奏の腕比べをしました。このときに使ったシュタイン制作のフォルテピアノのタッチは、軽やかではじけるような敏感さを持っています。モーツァルトはその後ヴァルターのフォルテピアノを購入しますが、この楽器は、シュタインに比べ、深みのあるバスの響きと繊細な表現も可能なメカニズムを備え、しっとりとした響きを出すことが出来ました。。晩年の名作『ロンドKV511』などを弾いていますと、ヴァルターあってこそ生まれた光と陰の交錯の世界を実感します。
モーツァルトの音楽に精通しておられる日本モーツァルト愛好会の皆様に「シュタインとヴァルターの音色の聴き比べ」をお楽しみいただけましたら幸いです。」
久元祐子