3月18日(土)第521回例会情報-出演者からのメッセージ(2)

トーキョーコンサーツ・ラボ(13:15開場、14:00開演)

「モーツァルトの旅」と題し、江端津也子さん(ピアノ)、田嶋克彦さん(解説)ご夫妻によるレクチャーコンサートです。演奏曲目は「ロンドン楽譜帳」全曲、ナッソーの主題による変奏曲K.25、幻想曲K.397、ピアノ・ソナタK.311などです。

解説の田嶋克彦さんからのメッセージです。

モーツァルトの旅 ~モーツァルト理解のために~

 モーツァルトは、その35年の生涯のうち10年以上を旅で過ごした。その範囲は北はベルリン、南はナポリ、西はロンドン、東はプレスブルク(現在 ブラチスラバ)に渡り、現在の国名で表すと、イギリス、オランダ、ベルギー、フランス、スイス、ドイツ、チェコ、スロバキア、イタリア、オーストリアと言うことになる。年齢的に見て、6歳のミュンヘン旅行から35歳のプラハ旅行まで、広いスパンで旅をしている。

 彼の旅は多くの音楽的体験をもたらし彼の音楽に大きな影響を与えた。それと同時に彼が各地で体験した政治的、経済的、文化的な時代背景を知ることは、我々がモーツァルトを理解するための重要な手がかりになると考える。

 レオポルト及びヴォルフガングが残した書簡には、そのことが如実に表現されている。このレクチャーコンサートではその時代背景を少しでも詳らかにしてみたい。

 今回、ロンドン楽譜帳を取りあげている。これはモーツァルト一家の西方への大旅行中、ロンドンでレオポルトが病気で寝込んだ時期(ヴォルフガング8歳)、郊外のチェルシーにおいて彼が作曲したものであるが、多分に作曲の練習の趣が強い。作曲上の間違いや未完成曲などが散見されるが、内容はやはりモーツァルトのものである。是非、彼のカンタービレを堪能していただきたい。

      田嶋克彦