10月29日(土)第516回例会のご案内(2)

 下山静香さんのピアノ独奏による例会ではモーツァルトのハ短調の名作(ソナタK.457、幻想曲K.475)を中心として4曲、『フィガロの結婚』に因むスカルラッティとF.リースの作品に加えてモーツァルトと同時代のスペインの作曲家ララニャガとソストアの作品も演奏して頂きます。下山さんから作曲家のプロフィールについて、下記の通りご紹介頂きました。

ホセ・デ・ララニャガ(1728-1806)

スペイン北部・バスク出身の作曲家で、聖職者、オルガニストとしても活躍しました。モーツァルトより28歳ほど年長で、モーツァルトの15年後に亡くなっています。作風は、前世紀のスペイン音楽の流れを汲みながら、隣国フランスやドイツ音楽(特にヘンデルやバッハ)からの影響もみられ、初期の古典様式が入った後期バロックといった位置づけになるかと思います。同時代の音楽スタイルや国際的な音楽動向について認識を持っていたようですので、モーツァルトの音楽にもちろん触れていたことでしょう。

マヌエル・デ・ソストア(1749-1814)

やはりバスクの生まれで、聖職者でした。こちらはモーツァルトにぐっと近くなり7歳年長、没年はララニャガの8年後となります(生没年に関しては諸説あり?)。宗教音楽やポリフォニー声楽曲、数は少ないですが鍵盤音楽のための作品などを残しています。今回演奏いたします〈アレグロ〉は、スカルラッティやアントニオ・ソレールによくみられるスペイン的で生き生きとした鍵盤曲で、サパテアード(靴音で表現する快活な踊り)の性格も持っています。

ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)

イタリア人ですがスペインに長く住み、スペイン音楽の歴史をたどるとき避けては通れない作曲家です。国際的に知名度の高いスペイン人作曲家が少ない18世紀前半に活躍し、多くのスペイン的な作品を残しました。「ファンダンゴ」はもともと即興的な要素が強い民俗舞踊・音楽でしたが、モーツァルトの生きた時代にはすでにスペイン的な踊りとして国際的に知られており、モーツァルトはスペインを舞台にした《フィガロの結婚》にこの音楽スタイルを取り入れたのでした、モーツァルトの前にも、例えばグルックが作品中に取り入れています。

例会の詳細はこちらです。

チケットは、一般4,000円・学生2,000円、お求めは東京オペラシティチケットセンター

(03-5353-9999)までお電話下さい。(月曜日定休)